1.供花の意味と読み方
訃報をうけたら、故人との間柄によっては供花(きょうか)を贈ります。供花は、お悔やみの気持ちを込めた弔意として、葬儀場に供える生花(お花)です。
供花は、「きょうか」または「くげ」と読み、亡くなられた方のご冥福を祈る気持ち(弔意)を込めて生花(お花)を供えることで霊を慰めるという意味を持っています。その昔、釈尊が亡くなられた時に天から宝花を降らせ釈尊の供養をしたという説を元に、現代でも、親族をはじめ亡くなられた方と親交のあった人が 送る最後の送り物とされています。
供花を送ることに特別な決まりはなく、気持ち次第で誰でも 送ることができます。寄せられた供花は祭壇の周りや斎場の入り口を飾り、故人とのお別れの儀式を荘厳な雰囲気で執り行うのには欠かせないものです。悲しみの中にいる遺族も、祭壇をたくさんの供花で飾って故人を送り出せる方が、ささやかな慰めにもなります。故人と少なからぬ親交があった場合は、心を込めてかご花や花輪を手配しましょう。
基本的には白菊をメインとした生花(お花)を用いていますが、最近では洋花も使われることが多くなってきており、葬儀の際に設けられた祭壇や斎場の入り口等に飾られます。
供花は、2つセット(一対)で 送るものとされていた時代もありましたが、今は1つ(一基)で 送る方法も増えてきています。
送り方には地域や宗教によってもマナーがありますので、訃報を受け取った際はあわせてお供えについても確認できるとよいでしょう。花を送ることで故人を偲ぶ気持ちを表現できる供花ですが、あまりにも豪華すぎる大きな供花は設置場所が難しく、遺族に手間をかけることになります。葬儀場や予算感をきいてから決める等、遺族への気遣いが大切です。
2.供花の送り方( 贈り方)
供花を送る場合、まずは遺族の了承を得ることから始めます。近年よくあるケースとして、葬儀に参列できないからと遺族の了承なしに香典の変わりに供花を手配したものの、遺族から辞退されてしまったということがあります。辞退の理由の多くは、「故人の意思を尊重して」というもので悪意はないのですが、行き違いがないように事前の確認は必須です。遺族の了承を得たら、葬儀を担当する葬儀社に供花の依頼をします。
ここで注意したいのが、供花は個人で送る場合と団体(連名や会社名義など)で送る場合とでは、供花として扱う花や飾りつけに違いがあることです。さらには飾る順番にも決まりがあるので、送り主は名義や故人との関係性をハッキリと提示することが大切です。自分で花を選んで送りたいという場合は、花やネットから手配することもおすすめです。ただし、その場合は必ず葬儀担当者に「他社で手配した供花でも可能かどうか」と「統一感を出すために、どういう花の種類が良いか」について必ず確認と承諾を得る必要があります。供花や供物は、多くは通夜当日の午前中から祭壇を飾り付けはじめるので、間に合うように手配を行います。
3.宗教による供花の種類
仏式・神式では、供花としてごく一般的に飾られますが、神式の場合は供え方のしきたりが難しく、キリスト教のカトリックの場合、供花は教会ではなく自宅に、プロテスタントの場合は生花のみ飾られます。
【仏教】で供花として送る場合、どのような規模の会場でも利用しやすいように籠盛りにしたフラワーアレンジメントが一般的となっています。会場となる斎場が広い場合は、フラワースタンドを一基送るという場合も多いです。送る際に悩むときは、手配・注文時に葬儀社に相談してみましょう。
供花に使用する花は基本的に生花で、菊やカーネーション、ユリ、デンファレなどが一般的で、高級感を出すのに胡蝶蘭を入れることもあります。色は、白をベースに薄いピンクなど落ち着いた雰囲気に仕上げます。その他、最近では生花に変わって、ブリザードフラワーという生花に似ている造花を使うこともあります。
【神葬祭】では基本的に送り方は仏教の場合と変わりません。籠盛り、フラワースタンドなどが多く生花を使用しています。かつては神道で榊(さかき)が送られていましたが、現代では喪主である祭主が榊を供え、それ以外の方が花を供えることが一般的です。花の種類は、白い菊が使われることがほとんどですが、ユリの花も使われ、白をベースとしたシンプルな色合いで供えられます。仏教のように胡蝶蘭などを飾ることはあまりみられません。
【キリスト教】の場合、スタンドフラワーや花輪などを供花として用いることはありません。
意味合いとして、故人の霊前に供える花でなく、遺族への慰めとして 送ります。ご遺族が供花を辞退することもありますので 送る前に必ず意向を確認しましょう。造花ではなく生花を用い、籠盛のようなフラワーアレンジメントを用いることが多いです。
また、キリスト教の葬儀は主に礼拝するという意味合いのため、生花に名札はつけません。
名札がついていても花からは外して芳名板に並べて置きます。また、教会ではなく個人の自宅に送るのが一般的です。
使用する花の種類は、洋花が中心となり、仏教や神道で使用される白菊は使われません。
同じ菊でも小菊やスプレー菊など小ぶりのものを使用するのが一般的です。この他にもカーネンションやユリを使用することが多く、白い花に限らず色花も使われます。日本ではまだまだ浸透していませんが、十字架やハートのフラワーアレンジメントを供花として送るのもキリスト教ならではです。また、お焼香の代用になる「献花」とは供花とはまた異なるものですので注意しましょう。献花は1人1本ずつ花をとって、順番に祭壇の上に置き故人とお別れをします。献花の時の花はあらかじめ用意されているものを使用します。
4.供花の札名の書き方やマナー
葬儀に参列すると、供花に添えられている札名を目にします。
そこに書かれている名前から故人と親交のあった人などを改めて知ることができるので供花の札名は、故人を偲ぶという意味でも大切なものです。そんな札名には、下記のような書き方やマナーというものが存在します。
法人で供花を送る場合
会社の代表者から送る場合、故人が勤めていた部署の仲間たちで送る場合のいずれも、会社名を入れますが、その会社名は正式名称できちんと記載するのが礼儀です。長すぎて書ききれないという場合のみ、株式会社を(株)とするなどの略式で記載することもあります。会社の部署で 送る時には部署名まできちんと入れて一同を付けますが、部署での連名の場合は肩書が上の人の名前を右から書きます。
個人で供花を送る場合
個人で供花を送る場合は、個人名のみの記載で問題ありません。
連名で供花を送る場合
連名で供花を送る場合は、連名となる組み合わせによって書き方に違いがあります。肩書のある人達の連名の場合、右側から順に地位が上の人がくるように書いていきます。友人、同僚などの場合は、特に気にせず連名で書くこともできますが、「友人一同」など一同とつけてあえて、連名としない方法もあります。
子ども、兄弟、親戚など連名で供花を送る場合
故人の子ども、兄弟、親戚など連名で供花を送る場合は「兄弟一同」「従兄弟一同」などと書くのが一般的です。子どもの場合は、一番右から長男、次男、3男という風に年齢順に書いていきます。
6.供花を送るタイミング
供花は、お通夜の前に祭壇に飾っていただくため、 送ることがきまったらなるべく早く依頼をしましょう。遅くとも通夜が始まる約3~4時間前あたりを目処に葬儀を担当している葬儀社に依頼しなければ間に合わない場合がありますので注意が必要です。
万が一、お通夜の席に供花を送るのが間に合わなかった場合は、葬儀を終えた後、自宅に飾る祭壇用として送る方法をとると良いです。その場合は、四十九日までに送るようにしましょう。
7.供花の価格相場
供花は一つを一基(いっき)、二つで一対(いっつい)と数えます。
祭壇ではなく斎場の中に飾られる大きな供花は、生花スタンドで一基が10,000円~20,000円。1対(2基)で送る場合は1基の値段の倍となります。
祭壇の周りに飾られる枕花(かご花)は、15,000円~30,000円。
8.供花の手配方法・注文の仕方
訃報の連絡が入ったら、独断で供花の手配・注文をする前に、まずは故人を知る周囲の人と参列や供花・香典などは相談するようにしましょう。
亡くなられた方との関係にもよりますが、一般的に供花は個人で送るというよりは、会社や友人、親族などで取りまとめる場合が多いことも事実です。
まず、供花の予算、名札にどのように記載するのかなどを決めてから、葬儀社へ電話連絡し、供花を送ることを伝えます。
手配する場合は、喪主の方の名前、葬儀の日程をまずは伝え、その葬儀社の担当で間違いないか確認します。そのうえで供花の種類、金額、名札に入れる名前を伝え、支払い方法についての確認も行っておきます。
供花の支払いは、自身が斎場へ参列する場合は、直接支払うこともできますが、後日改めて振込みという形のところも多いです。
葬儀社へ依頼せずに自分で花屋に手配したい場合は、供花の持ち込みを禁止としているところも少なくありませんので、葬儀社に確認してから手配・注文するようにしましょう。
9.供花の飾り方
供花の飾り方は、祭壇とのバランス、送って頂いた方への配慮など難しいので、葬儀社に相談、もしくはお任せするのが間違いありません。特に供花を並べる順番には十分な配慮が必要となります。
供花は、故人とゆかりのある一番近い遺族もしくは親族などの近親者、次にプライベートで親しくしていた方、会社関係者という順番で、祭壇の中心に近いところから、祭壇など全体のバランスを考えながら飾っていきます。
10.供花を送る際の注意点
依頼は早すぎず、遅すぎずが鉄則
故人の訃報が届いたら、できるだけ早く手配を行うことが大切ですが、早すぎる依頼は失礼にあたるので、程よいタイミングを図る必要があります。
しかし、遅すぎるのはまた遺族に失礼にあたるので、お通夜が始まる前には設置完了するように手配するようにしましょう。
身内の葬儀に供花は送るの?
身内が亡くなって葬儀をとり行うことになった場合、供花を送るものなのかは、必ず送るべきとも送らないものともどちらとも言えません。
身内で供花を送る場合は、親戚一同、兄弟一同、孫一同など属性の同じ人達でまとめて送られていることが多いです。身内だからこそ供花を「送る」、「送らない」は、葬儀の前に親・兄弟・親戚で相談して決定するようにすると良いと思います。
お花(供花)やお花代をいただいた際のお返しは必要なの?
お花(供花)やお花代をいただく機会もあると思います。そのような場合には、お礼状と共に、返礼品の品物を一緒に贈るのが一般的です。
11.おわりに
以上、葬儀の際に飾られている供花について説明してきました。葬儀の際に飾られている供花には、どんな意味が込められるものなのか。
そして送り方や使われる花などのしきたりも地域や宗教の宗派によって違いがあるということが理解できたのではないでしょうか。
供花について改めて理解すると、なるほどと思うことも多いですよね。故人の最後に寄り添うお花に、これまでの感謝を込めて送りたいですね